告発し続ける大切さ~地球環境白書(1)

阪神大震災の時に、港湾のトランクルームに預けていた書籍とレコードが、一部紛失し、預けた個数と、引き上げた個数が合わなくなったことがあった。

今年、その倉庫業者から実家に連絡があり、奇跡的に十数箱が眠ったままであったことが解り、引き上げてきた。もちろん「預かって無い物は請求できない」との当時の業者の見解だったし、無くなった箱は諦めていたので、喜んで引き取りに行った。もちろん倉庫料は無料である。

カール・セーガンのコスモスも再読中だが、サッサと読めるので、この本を今日読んだ。1983年創刊~1997年まで、環境問題をかなり積極的に扱っていた科学雑誌の特集号である。いまどきWEB検索しても、同じ本は、1991年の再版物がほとんどのようで、もちろん絶版だ。

手元にあるのは、1989年10月発行の『「保存版」地球環境白書~今、「地球」が危ない』学研ムック、学習研究社刊である。

ちょうど20年前に、好評を博して特集記事として集められ、関口浩氏や、北野大氏、各界著名人へのインタビューやコメント、各政党への環境問題等への質問状と回答など、いま読むと大変興味深い。

読み返しながら、「そうだそうだ。。。」と、当時、何故この本を買ったのかという動機から思い出していく。当時は地球温暖化や、環境破壊について、「家庭や個人個人の責任を考えよう」という視点がかなり頭を上げてきていた時だが、僕は「それはおかしい。詭弁だ。」と思っていたからだ。

自分がかなりな天の邪鬼なんだな。。と再認識しつつ、当時のその動機とは、ノストラダムス(私の中ではノストラダマスだが)の大予言や、尽きない占いブーム、根拠のない第3次世界大戦、核戦争論に、世間が右往左往させられるのは、誰かの策略だ(笑)と真剣に考えていたからである。

ちょうど、この本の出版された1989年11月には、ベルリンの壁が崩壊している。長い東西冷戦に終止符が打たれようとしていた訳だ。

『今「地球」が危ない』という、この刺激的なタイトルで、オゾンホール、異常気象、人類滅亡のサイン、酸性雨、果ては、トリハロメタンから、アスベスト、核汚染に至るまで、ありとあらゆる部分的データと、刺激的記事で、「どうする?どうする?どうする?君ならどうする?!」と、全ページをもって問いかけてくる。

gakken-mook-face.jpg上記の「どうする?」は、電磁戦隊デンジマン(1980~1981放映)の歌詞の一部を拝借しただけだが、以下の文はすべてこの本の中にある見出しタイトルだ。

「地球が狂いはじめた。人類滅亡のサインか?!」
「地震には人間はまったく無力だ。まだ予知することさえ出来ないのだから。」
「あなたも地球を破壊している共犯者?!」

20年前のことだし、当時、環境破壊への関心を高める上で、一役買っている訳だから、笑って許してあげたいが、学研の科学と学習でお世話になった、学習研究社の本としては、落ち着きのない、情けない本である。

gakken-mook.jpgまず、人類滅亡のサインかどうかと言うことに限ると、あらたのは否と考えている。人類は少しずつ賢くなっている。自然との関わりもかなり深く感じられるようになっていると考える。その点はまた何時か書くとして。。。

地震はあまり科学的根拠として、人間の生産活動が、引き起こしているとは言い難い。科学的に関連データがない物まで掲載するのは問題だ。事実、あらたのも、この本を買った6年後には、阪神大震災に遭っている。人間は無力ではなかった。

あの震災で助け合い、亡くなった方を弔い、多くの物を失って、しかし多くのものを得たのである。人間は学ぶことが出来るのだ。かくいう、あらたの自身も内面でずいぶんと影響を受け、変化があった。それらは、総じてよい変化だと感じている。

また、共犯者と言われると、本当に片腹痛い。便利な経済生活を推進しているのは、誰でもない、新古典主義的な経済理論に基づく、永久右肩上がりを根底では払拭できない信奉者としての、政治(家)であり、経済(関係者)であり、大企業(関係者)だからだ。

便利な生活というのは、世界的に見れば、一部のものだけが享受しているから、格差であり、差別でもある。豊かな国が貧しい国にお金で何かしてあげる。という慈善の構図は、バングラデッシュのグラミン銀行ヤヌス総裁が、「最もいけないこと」としている通りだ。

もしも明日から、世界中で、電気のない生活なら、それはそれでいいのだ。世界中に手回し発電ラジオだけ世帯分30億個ほど配って、もう一度各地域ごとに考え直せばいい。1個10ドルと高めに見積もったとしても、300億ドル。今日の日本円で、わずか3兆円ではないか。

贅沢を我慢できない国民に仕立てて、贅沢を覚えさせ、よい暮らしにして、我慢を覚えさせないのは、トータルで見たら、悪と言えるであろう。何かというとすぐに保護主義を批判し、自由という名のわがままし放題を擁護する。

アメリカを筆頭に、日本などG20の都市は、もう電気のない生活は出来ない。セキュリティーや通信はとても重要だからだ。一度わが子にバイクを与えたら、防犯チェーンに、ヘルメット、盗難保険にガソリンなどの維持費と、次々に必要になるのと同じで、後戻りできない仕組みを、これ幸いと、うまく利用しているようにも見える。

電気が無くなれば、このブログも書けないし、文明後退か・・・手回し発電機かペダル式ってのはどうだろう。でもサーバーが動いてないと意味無いしね。危ういタイトロープの上を走って居るんだね。僕たちって。

この本の所感や、記事の後追いの、検証なども、引き続き書いていきたい。いま見れば雑な本だけれど、今でも大切なことや、今だから見直すべき事も20年の月日が教えてくれる。

告発し続けることは、とても大切だと実感した。そういう意味では貴重な一冊とも言える。

保存版「地球環境白書」~今「地球」が危ない
UTAN「驚異の科学シリーズ」①
GAKKEN MOOK
学習研究社
ISBN: N/A

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